私のアルバムページ（33）
２０１０．０５．０１
見返り美人と月に雁のシート
昭和30年代の切手ブームの時代に、切手少年たちのあこがれの的であった切手が、この「見返り美人」と「月に雁」です。筆者もその例外ではありませんでした。当時の切手店での販売価は、500円程度だったと思います。新発行の記念切手2〜3シート分の値段ですから、全く手の届かない雲の上の存在というほどでもなかったのですが、これ1枚のために他の多くの切手の入手をあきらめるわけにはいきませんでした。周囲の切手少年たちも、これらあこがれの的を所持していた者はごくわずかでした。
切手ブームの頃は、この種の記念切手の値上がりも激しいものでした。当時の切手少年向けのガイドブックには、無理して今買う必要はない、大人になれば必ず買える、などと（結構まともなことが）書かれていたのですが、どうしてもそんな記事を疑いの目で見てしまうものでした。
しかしその数年後、結局は「見返り美人」も「月に雁」もマイコレクションに無事納まり、その後は平穏な時間が流れていきました。この切手が再び気になり出したのは今から数年前のこと、戦後記念切手の製造面のバラエティに目が向くようになった頃です。昭和30年代の安価な切手の目打バラエティを、シートで集め始めましたが、何と見返りや月雁にまで目打バラエティがあるというのです。以前の切手ブームの時は、単片1枚が問題でした。この切手をシートで持つなど思いもよらぬことでしたが、この切手のシートは5面構成という「小型シート」並みです。アルバムリーフに目打違いを2シート並べると、きれいに納まります。
というわけで多少の無理をして、その目打バラエティをシートで揃えたのが、上のアルバムリーフです。このような目打バラエティが存在する理由は、こちらの記事をご覧下さい。昭和20年代から30年代初期にかけて、多くの記念切手で採用された目打型式の一環です。
切手ブームが去った今でも、一般の方にもよく知られたこれらの切手は、さすがに額面で買うわけにはいきません。状態のよいものでは2000円以上が必要でしょう。筆者と同様に、最近は記念切手のシートに注目する人が多いようで、シートを買おうとすると単片の値段×枚数よりもずっと高い資金を用意する必要があります。状態にこだわると、さらにその傾向は強まります。現時点でのシート価格は、普通品で１万円程度と思われますが、状態にこだわると数万を必要とします。上の画像のシートですが、見返り美人の方はまあ「普通の上」といったあたりです。このあたりで妥協して2万程度で購入しましたが、今ならもう少し安く買えるかもしれません。月に雁の方は、かなり状態のよいシートを選びましたが、かなりの出費を必要としました。
このようなシートコレクションは、誰にでも真似できるものではありません。初心者にこのようなリーフを見せるのは、インパクトが強すぎていかがなものかという気はしますが、わかりやすいコレクションであることは確かです。ただ目打バラエティについては、ひと言説明してあげないと気づいてもらえないこともあるようです。